叫びの48:正月雑談(の中にあるエンジニアの心得)

 
 明けましておめでとうございます。この連載を初めて2度目のお正月です。もう本当に「禍々しい」(昨年のお正月の回参照)の領域に入っているように思っていますが、今年も手を変え品を変えで何かしら皆さんのお役に立つ情報を提供できればと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。

 さて、正月早々飛ばすのも何なので雑談ベースで今回は書かせて頂こうと思います。毎回そうだろうという声も聞こえてきそうですが。うーん。

 昨年は「僕にとってのコンピュータの世界のアイドルのお話」をさせて頂きまして、今年はその続編を書こうと思っていたのですが、ちょっと大笑いするような動きがネット上であったので、それを肴にさせて頂こうと思います。結構色々なサイトが反応した事ですし、雑誌でも取り上げられたりしていたのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますがお付き合い下さいませ。

 「blog」という言葉をご存知でしょうか?「WebLog」から作られた造語で、他のサイト(主にニュースサイト)に掲載された様々な事件等にリンクを貼り、主観を述べた文章で構成されるサイトの事を指します。北米のJorn Barger氏が「blog」という言葉の作成者であり、その為のツールを開発・公開しています。blogの定義もしています。「WebLogとblogは違う」といった意見もありますが、今回の趣旨と違いますのでそういった部分には触れません。

 氏のサイト( http://www.movabletype.org/ )を見て感動したという日本デジタル界でやたらと名を聞く伊藤譲一氏(※)が東京大学のmesh=メディア環境学研究室の竹邑助教授にblogの存在と素晴らしさを伝え、meshは研究の一環としてblogをスタートさせました。( http://bloggers.ja.bz/ )

※ネットが盛んになってきた時期には「インターネットの第一人者」と言われたり(村井純氏の功績の方が遙かに上だと思うのですが…)、Linuxが騒がれると「Linuxの伊藤」と言われたり、という感じの人です。伊藤氏のプロフィールや発言・著作については検索すればかなりの数がヒットすると思いますので興味のある方は一度お試し下さい。特に僕のように悪趣味な方にはご堪能頂けると思います。わはは。因みに伊藤氏はゲームデザイナーの飯野賢一氏や作家の村上龍氏、世界の(笑)坂本龍一氏等にもblogを広め(以前から伊藤氏は著名人と関わる傾向が強い)"Japan Blogging Associations" なる団体を作ったりしています。

 この辺りで違和感を感じた方もいらっしゃると思います。何故meshの助教授にそのようなものをわざわざ紹介するのか?と。その違和感は正解で、騒ぎはその違和感の原因となる日本のサイト事情から始まるのです。

 meshのメンバーが次々とblogを開始していったのが今年の10月。その中の一人が「blogが一般的になったときに、「mesh抜きでは日本におけるblog草創期を語れない」と言われるようなサイトにしていきたいですね。(言いすぎ?)」と書いた事が様々なサイトや掲示板でネタにされました。一種のお祭り状態で、本人の掲示板に「既に草創期は終わっています」といった書き込みがあったりと妙な盛り上がりをみせたのでした(リアルタイムで見ていて大笑いしていた僕は間違いなく悪趣味です)。

 何故お祭り状態になったか。簡単に言ってしまえば日本の「日記サイト」「テキストサイト」と言われるジャンルのサイトの中にほぼ同様の手法で運営しており、かつ面白いサイトが既に存在していたからです。blogを意識していなくともその用件を満たしたサイトも多くあります。特筆すべきは伊藤氏がblog云々を言い始める前に既に「ばるぼらアンテナ」という個人サイト( http://blogdex.tripod.co.jp/ 現在更新停止中。公開していた「ニッポンのインターネットの歴史」は匿名掲示板の歴史などを知る貴重な資料だと思いますので、その辺りに興味がある方は是非ご一読を)が「このサイトはblogである」という事を自覚し明言していたという事でしょう。URLを見てもしっかり現れています。

 要するに伊藤氏及びmeshのメンバーは日本のサイトの現状を知らなかったという訳です。本人達に悪気は無かったのでしょうが「仮にも国費が投入されている所なら現状調査等を行うのは当然であり、ネットの実態を知らな過ぎる」といったもっともな意見が噴出しました。白眉だったのはやはり個人サイトである「見下げ果てた日々の企て」( http://picnic.to/~mhk/ )の記述でしょう。多くのサイトで引用されました(サイト全体はマニア向けと言っても差し支えない内容なのでアニメ等に嫌悪感を示す方には推奨致しませんが、以下の文の全文は読んで頂きたいですし、サブカルチャーに興味がある方にはお奨めだったりします。topicだけ読むというのもお奨めです)。

『m.e.s.h.―メディア環境学研究室―の人たちの見てるインターネットとぼくの見てるインターネットは絶対ちがうものだと思いました。嘘つきには見えないインターネットがあるのかな?』( http://picnic.to/~mhk/walk/walk0211.htm#8 topic 11/8 抜粋)

その一方で日記の中にこのような発言もあります。

『「ひょっとして一般の人が見てるインターネットと僕の見てるインターネットもちがうんじゃないの?」と怖いことに気づいてしまいました。m.e.s.h―メディア環境学研究室の人たちのネットに対する感覚のほうが、一般の人の感覚に近いわけで、やっぱり自分は未開の地に暮らすネット原住民なんじゃないかなあという気はしてきました。いるけれど、いないものにされそう。アメリカ大陸発見! みたいな。前からずっとあったよ』( http://picnic.to/~mhk/diary/diary0211b.htm#02/11/13 日記 11/13抜粋)

 個人的には後者に興味を惹かれます。自分のマニアックさやヘビーユーザの特異点を自覚した上での発言であり、meshがライトユーザに近いとしている辺りに毒を感じ非常に興味深いです。僕自身、普段見ているサイト等はマニアックと言われるものやアンダーグラウンドとされるものが多かったりします。僕とかがメジャーと思っているものの多くは一般的には存在すら知られていないというのが現状でしょう(だからこそ面白いのですが)。

 話を戻しますが、この一連のblog騒動はmesh側が認識不足を謝罪する形で収束しました。でもって、我々技術者はこの騒動の中から読み替えや立場の置き換えをすることで学ぶ事が多々あると思います。
 「プロのエンジニアならば最新の動向や全体の動きは押さえておくべき」
 「与えられた情報を鵜呑みにするととんでもない事になる時もある」
 「知りませんでしたでは済まされない事も多い」
などなど。色々と考えるヒントになると思います。

 この騒動で僕の考えに最も近かったサイトはここです。変にマニアックですみません。 http://sho.tdiary.net/20021111.html (blogの部分)

 最後に。正月早々こんな内容で失礼しました。…とか言いつつ考えてみると普段の内容と余り変わりが無いような気が。ゴメンナサイゴメンナサイ…


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